大規模修繕工事の進め方とは?流れや施工の際の注意点も紹介!
「大規模修繕工事を検討しているけれど、どのように進めたらいいかわからない」
「大規模修繕工事を行う際、注意するべきポイントが知りたい」
大規模修繕工事をはじめて行う方の中には、このようにお悩みの場合も多いはずです。
また、大規模修繕工事はおよそ12年周期で行われるため、前回の流れを思い出せない方もいらっしゃることでしょう。
大規模修繕工事は工期が長く、莫大な費用もかかるため、失敗は避けたいところです。
そこで、この記事では、大規模修繕工事の進め方や施工の際の注意点などを詳しく解説していきます。
大規模修繕工事への不安を抱えている方は、ぜひこの記事をチェックして工事の進め方を確認してみてください。
大規模修繕工事を進めるために必要な「長期修繕計画」とは
長期修繕計画とは、マンションの大規模修繕工事を行うために立てる計画です。
マンションの大規模修繕工事は、建物の修繕だけでなく資産価値を維持するために行われるため、適切なタイミングで正しい施工を行わなければなりません。
適切なタイミングで、修繕が必要な箇所の工事を的確に行うためには、事前に計画を立てておく必要があるのです。
長期修繕計画には、以下の内容が組み込まれています。
・修繕工事の内容
・施工時期
・おおよその費用
さらに、大規模修繕工事の費用を支払うための、修繕積立金額の根拠も明記しておきます。
また、長期修繕計画は新築マンションで30年以上、既存マンションで25年以上を計画期間として作成します。
長期修繕計画を立てた後も、建物の実際の劣化状況を反映させるために、定期的に見直さなければなりません。
長期修繕計画は、およそ5年ごとに見直します。
マンションの大規模修繕工事の進め方
マンションの大規模修繕工事の進め方は、一般的に以下のような流れです。
1.大規模修繕委員会の発足
2.コンサルタント会社の選定
3.施工会社の選定
4.居住者への説明会の実施
5.仮設設置の工事
6.工事の開始
7.工事の終了
それぞれの流れの内容を、詳しく解説していきます。
大規模修繕委員会の発足
まずは、マンションの大規模修繕をリードする「修繕委員会」を発足します。
修繕委員会とは、マンションの居住者で構成された、大規模修繕の計画進行に特化した組織です。
ただし、大規模修繕の事項についての決定権は管理組合の理事会や総会が有しており、修繕委員会に最終決定の権限はありません。
修繕委員会の位置づけは、理事会の下部組織となります。
大規模修繕委員会は、主に以下のような内容の活動を行っています。
・大規模修繕の情報収集
・建物劣化診断の実施
・修繕ポイントの割り出し
・基本計画の立案
・業者の候補選出や窓口対応
・住民の要望やクレームへの対応
大規模修繕委員会は、マンションの大規模修繕工事の流れを担う、大事な組織といえます。
コンサルタント会社の選定
大規模修繕工事について詳しいメンバーが修繕委員会にいない場合、専門家であるコンサルタント会社を選定します。
コンサルタント会社を通すメリットは、専門家であるコンサルタントが大規模修繕に関わるため、工事がスムーズに行える点です。
コンサルティング料金がかかるデメリットはあるものの、大規模修繕計画の流れにプロの目線が入る安心感があります。
コンサルタント会社が行ってくれるコンサルティング業務は、主に以下の内容です。
・修繕計画のアドバイス
・施工会社の選定
・見積書の査定
・修繕工事のチェック
素人では難しい業務内容も、コンサルタント会社がしっかりとサポートして大規模修繕工事を成功に導いてくれます。
施工会社の選定
大規模修繕工事のおおよその計画や予算を組み立てた後は、施工会社の選定を行います。
施工会社の選定方法には、以下の3つの方式があります。
・見積もり合わせ方式
・入札方式
・特命随意契約方式
「見積もり合わせ方式」とは、複数の施工会社に同じ工事内容で見積もりを出してもらい、見積書を比較して1社を選定する方式です。
「入札方式」では、公募や指名にて選ばれた複数の施工会社で競争入札を行い、最も工事価格が低い業者を選びます。
「特命随意契約方式」は、信頼関係があったり、前回の大規模修繕工事を施工したりした施工会社を選ぶ方式です。
施工会社の選定は、公正な判断が求められるため、事前に選定基準を設けることをおすすめします。
また、コンサルタント会社からサポートを受けている場合は、工事の見積書や施工実績をもとに、施工会社の選定方式のアドバイスを得られます。
居住者への説明会の実施
施工会社が選定できたら、大規模修繕工事の内容を居住者に説明します。
トラブルをできるだけ回避するため、丁寧に説明するようにしましょう。
居住者への説明会では、主に以下の内容を伝えるようにします。
・発注先の施工会社
・工事内容
・工法や工程
・工事費用
・スケジュール
・工事期間中の注意点
工事期間中は、騒音や塗装による臭いや、エレベーターが使用できない時間があることなどをきちんと伝えて、居住者から理解を得ることが大切です。
仮設工事
大規模修繕工事を始める前に、施工がスムーズに行えるよう仮設工事が行われます。
仮設工事では、主に以下のような設備を設置します。
・現場事務所
・資材倉庫
・作業員休憩所
・仮設トイレ
・足場
・養生用のメッシュシート
・掲示板
仮設工事は、受注した施工会社が行います。
工事を任せるマンション側は、施工会社と相談の上、準備に協力しましょう。
工事の開始
仮設の工事が終了したら、大規模修繕工事の施工開始となります。
工事期間中は、順調に工事が進んでいるかチェックしましょう。
また、工事期間中は大規模修繕委員会がマンション居住者の窓口となり、工事に関する対応をしなければなりません。
工事の終了
マンションの修繕が終われば、工事の終了です。
工事が終了したら、施工不良や不具合がないかチェックするようにしましょう。
マンションの大規模修繕工事を進める上で注意すべきポイント
マンションの大規模修繕工事を成功させるために、注意しておくべき5つのポイントを紹介します。
特に、大規模修繕工事がはじめてという方は、ぜひ押さえておきましょう。
施工業者の選定に私情が入らないようにする
施工業者を選ぶ際、トラブルを回避するためにも私情が入らないようにしましょう。
施工業者の選定では、知り合いに依頼すると安心感がありますが、万が一トラブルが発生した場合、関係にヒビが入る恐れがあります。
私情が入らないように、施工業者の選定は公正な方法で行うようにしましょう。
大幅な値下げをしている業者への依頼はよく検討する
工事価格を大幅に値下げしている業者は、手抜き工事をする可能性があるため注意が必要です。
他社と比べて価格が大幅に低い場合、必要な施工を行わないようにしていたり、依頼していないグレードの低い材料や建材を使用したりする可能性が高いです。
工事費用を抑えたいとお考えになるかもしれませんが、大幅な値下げをしている業者への依頼は、コンサルタント会社に相談してよく検討するようにしましょう。
工事中のトラブルの対応策を練る
工事中にトラブルが発生した場合の対応策を練っておくと安心です。
工事中のトラブルとしては、居住者からのクレームや工期の延長などがあります。
居住者からのクレーム対応のための窓口を設置したり、工期が延長された場合の対応策をまとめたりしておきましょう。
近隣住民へも工事の告知を行う
工事の告知は、マンションの居住者だけでなく、近隣住民にも行っておきましょう。
工事中に近隣住民とトラブルが起きないようにすることも、工事を成功させるための重要なポイントとなります。
また、工事後に近隣との関係が悪化した、ということも避けたいところです。
近隣住民へも、工事を開始する前に工事期間や工事内容をきちんと伝えておきましょう。
工事中は定期的に進捗状況を確認する
大規模修繕の工事中は、定期的に進捗状況を確認して工事がスムーズに行われているかチェックしましょう。
また、定期的に定例会を開き、工事の進捗状況をまとめてマンションの居住者向けに掲示するようにします。
工事の進捗状況を把握することで、居住者も安心して生活が続けられます。
大規模修繕の工事は適切な進め方で行いトラブルを避けよう
大規模修繕工事は長い期間をかけて行われるため、トラブルが発生する場合もあります。
しかし、適切な進め方で工事を行えば、多くのトラブルは避けられます。
この記事を参考にして、大規模修繕工事の流れをしっかりと掴みましょう。
詳しい大規模修繕の情報は「初めての大規模修繕!工事タイミングや費用、実施のガイドライン」でもご紹介しています。