マンションの屋上やベランダなどによく使われるウレタン防水のメリットとデメリットは?

マンションの屋上やベランダなど、長期間風雨にさらされる場所には防水工事がかかせません。しかし、実際に防水工事を行おうとすると、どの方法を選べばよいかわからない、どのようなメリットやデメリットがあるのかわからないこともあるのではないでしょうか。

今回は、防水工事の中でもよく利用されるウレタン防水のメリットとデメリットを紹介します。

 

防水工法の種類

屋根やベランダの防水工法にはさまざまな種類がありますが、なかでも一般的なのが「FRP防水」「シート防水」「ウレタン防水」の三つです。

「FRP防水」ガラス繊維強化プラスチック成分を含んだ防水材で被膜を作る工法「シート防水」塩ビやゴムでできたシートを防水材として使用する工法です。FRPはベランダ、シート防水は屋根に使われることが多く、古くから利用されている防水工法です。

「ウレタン防水」液状のウレタンを塗って防水塗膜を作る工法です。ベランダはもちろん屋根にも利用できることから、近年、多くの場面に利用されています。

 

ウレタン防水には「密着工法」「メッシュ工法」「通気緩衝工法」があります。

「密着工法」は施工面に防水材を直接塗る工法です。最もシンプルな工法で使用する材料も少ないため、比較的安価・短期間で施工可能です。

「メッシュ工法」は密着工法の一つで、防水材だけを重ね塗りするのではなく、下地塗りをした上にメッシュ生地などの補強布を張りつけ、その上に防水材を重ね塗りする工法です。手間が増える分、費用や施工時間も少し増えますが、メッシュを使わない工法よりも丈夫に仕上がります。

密着工法とメッシュ工法は施工面全体が完全に乾燥していないと、気温上昇などで湿気が膨張した時に塗膜が膨れたり亀裂が出来たりします。そのため、乾燥状態にムラがでやすい広い面積の空間にはあまり適しておらず、バルコニーやベランダといった比較的狭い場所に利用されます。

また、「通気緩衝工法」は施工面に防水材を直接塗るのではなく、施工面に取り付けた「通気緩衝シート」に防水材を塗る工法です。シートには内部の湿気を抜く機能がついているため、完成したウレタン防水層が熱や湿気によって膨れるのを防ぐ効果が期待できます。密着工法やメッシュ工法があまり適していない広い空間や、コンクリートなど湿気を含む面にウレタン防水を行うときに利用されます。

 

ウレタン防水のメリット

【施工が容易】

メッシュ工法や通気緩衝工法はメッシュやシートを張る作業がありますが、ウレタン防水は基本的に「ウレタン防水材を塗るだけ」です。

例えばシート防水の場合、シートの隙間を埋めたり固定するために金具を取り付ける、ヒーターを使ってシートを熱で固定するといった手順が必要です。材料や使用する道具の種類が多いうえ手順が複雑なため、施工できる業者が限られてきます。

ウレタン防水は施工が容易なうえ、さまざまな素材や、複雑な形状の場所にも適用できるため、請け負っている業者が多く技術力や価格などを比較しながらニーズに合う業者を選ぶことができます。

 

【継ぎ目がない】

シート防水で施工を行う場合、シートよりも大きな面積を覆うためには複数のシートを継ぎ合わせる必要があります。継ぎ目を塞いで防水性を高めることは可能ですが、いくらうまく塞いだとしても継ぎ目部分はほかの場所に比べると防水性が低く、継ぎ目部分から雨水が入り込むこともあります。

ウレタン防水は樹脂を塗る方法ですのでシート防水のような継ぎ目はできません。継ぎ目ができるシート防水などに比べると高い防水性を期待することができます。

 

【メンテナンスしやすい】

ウレタン樹脂は「重ね塗り」をすることができるため、塗膜が破れたり亀裂が入ったりしたとときの補修が容易です。古い塗膜をはがさなくてもよいため、塗りなおしの際にかかる手間が少なく、施工費も安くなります。

 

【色や機能の種類が豊富】

ウレタン防水材には臭いを抑えたタイプ、赤外線を反射する遮熱保護タイプ、紫外線や雨に強い高耐候性タイプなど、機能性を持った塗料があるだけではなく、表面に塗る「トップコート」はグレー、ベージュ、グリーンなど色のバリエーションも豊富にあります。

 

ウレタン防水のデメリット

【技術による品質の差が出やすい】

基本「塗るだけ」のウレタン防水は施工が簡単な防水工法ですが、技術による品質の差が出やすいのが大きな特徴です。

最も多いのが施工面の水分による塗料の密着不良です。密着工法やメッシュ工法の場合、施工面が水分や湿気を含んでいると、塗った後に水蒸気が出来て塗膜の膨れや亀裂の原因になることがあります。

また、塗装の厚みに極端な差がある、施工前の塗料を作るときに分量をしっかり測っていなかった、攪拌が不十分であったなどの理由で塗膜が破断する、塗膜の劣化が早くなることもあります。

技術力が低い業者が施工すると十分な防水効果を得られなかったり早期に塗り替えを行う必要が出来たりするため、経験豊富で技術力の高い業者を選ぶ必要があります。

 

【メンテナンスの回数が頻繁】

シート防水の場合、シートの寿命が13~15年程度と長めで、寿命までメンテナンスらしいメンテナンスは必要ありませんが、ウレタン防水の場合は耐用年数が10年であったとしてもトップコートが劣化していたら塗りなおしを行わないと性能を十分に発揮できません。

トップコートどの程度の期間で劣化するかは使用環境などによって異なりますが、5年程度で劣化することが多く、耐用年数に達していなくてもこまめにメンテナンスを行う必要があります。

 

【硬化までに時間がかかる】

塗料を使った防水施工にはウレタン防水のほかにFRP防水がありますが、一般的にウレタンはFRPよりも硬化に時間がかかるという特徴があります。

そのため、ベランダや外廊下などに施工した後しばらくはその空間を使用できず不便を感じるかもしれません。

 

代表的なウレタン防水材

【ワンレタン】

ウレタン防水材は二種類の薬剤を混合して作る「二液性」が主流ですが、「ワンレタン」は薬剤を混合する必要のない一液性です。

二液性の防水材は計量ミスなどで品質にムラが出やすいというデメリットがありますが、一液性は計量・攪拌の必要がないため安定した品質を得ることができるだけではなく、作業の手間が減って施工が簡単になります。

 

【サラセーヌAZ】

サラセーヌAZはJIS高強度形とJIS伸長形の規格認証を受けている防水材です。一般的に、強度が高く硬い塗膜は下地の熱伸縮や地震などでヒビ割れやすいのですが、サラセーヌAZは高い伸び性能も備えているためヒビ割れを起こしにくいという特徴があります。

 

【Mizuha】

Mizuhaはベランダ、バルコニー、屋上などさまざまな場所、素材に使用できる水性の一液性ウレタン防水材です。有機溶剤を使用しない水性であるため、施工時の匂いが気にならず環境にも優しい、安心・案戦に使うことができるといったメリットがあります。

 

【凄極膜(すごまく)】

凄極膜JIS高強度形とJIS伸長形の両規格に適合する防水材で、高い柔軟性と強靭性を備えています。さらに、有害なトルエンやキシレン、鉛、ホルムアルデヒドなどを使用しておらず、環境負荷が低く安全で、さまざまなシーン、下地に使うことができます。

 

【サラセーヌEQシリーズ】

サラセーヌEQシリーズは硬化速度が早いだけではなく、低温硬化性能にも優れた防水材です。

施工時間が短くなるためトータルコストを下げることができるうえ、-5℃でも硬化するため冬や寒冷地でも施工が可能です。専用の効果促進剤を使用すると硬化速度をさらに早くすることもできます。

また、シックハウスの原因となる有機溶剤や、厚生労働省が定める「室内空気汚染物質」の13物質を使用していないため、安心・安全に使用することができます。

 

まとめ

ウレタン防水材は用途や使用できる範囲が広く、機能や色のバリエーションが豊富といったメリットがあります。施工が比較的簡単なため、請け負っている業者が多く、比較的安価に施工できるのも魅力です。

しかし、技術によって品質に差が出やすい、耐用年数がやや短いといったデメリットがあるほか、施工場所にあった性質の防水材と施工方法を選ばないと性能を十分に発揮できないこともあるため、知識と経験が豊富で技術力の高い業者を選ぶ必要があります。相談からメンテナンスまで、長期にわたってトータルに任せることができる業者であれば理想的です。

マンションの屋上やベランダなどのウレタン防水をお考えの方は、マルキペイントにご相談ください。

 

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