サイディング外壁のコーキングに使われるノンブリードタイプの変成シリコンとは?

サイディング外壁を塗装する際、面の部分はウレタン塗料やシリコン塗料を使用しますが、継ぎ目の部分にはシーリング材を使用します。

シーリング材は穴埋めや接着などの役割を果たす材料ですが、経年劣化で割れたりヒビが入ったりするほか、欠損することがあり、そのまま放置していると雨漏りの原因になるため補修が必要です。 シーリング材の中でも油性の充填剤を使用しているものを「コーキング」と呼びます。コーキングの素材はさまざまですが、主なものとしては「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「ポリサルファイド」「変成シリコン」があります。 近年、コーキングの中なかでもノンブリードタイプの変成シリコンが注目されており、サイディング外壁の塗装に使われることが増えています。ノンブリードタイプの変成シリコンとはどのようなものなのでしょうか。

 

コーキングの種類と特徴

コーキングはシーリングの中でも樹脂を主成分としたもので、乾燥すると表面は硬く、中は柔らかいというゴムのような状態になるのが特徴で、「弾性接着剤」として利用されています。

乾燥すると完全に硬くなる接着剤は接着力が強いものの、熱や湿気で膨張・収縮を起こす素材に使用すると柔軟に対応することができず剥がれたり割れたりすることがあります。

コーキングは完全硬化型のパテなどに比べると接着力が弱くなりますが、ゴムのような弾性があるため、素材の変形にもある程度対応することができます。このことから、温度や湿度の変化が激しい場所や、金属と木材といった異素材の間を繋ぐときはコーキングを使用します。

 

【アクリル】

アクリルのコーキング材は水性であるため作業性が優れていること、湿った場所にも施工可能であることが特徴です。

比較的安価で使いやすいコーキングですが、硬化後に肉やせが起こる、耐候性と耐久性が低いというデメリットがあるため、基本的に屋外では使用しません。

 

【ウレタン】

ウレタンのコーキング材は密着性や弾力性が高い上、価格が比較的手ごろなので外壁の塗り替えやコンクリートのヒビ割れ補修など、幅広い用途に使用されています。

しかし、むき出しの状態では紫外線に弱く埃を吸着しやすいため、表面を塗装で覆う必要があります。

 

【シリコン】

シリコンは耐久性が高くウレタンなどほかのコーキング材に比べると寿命が長いという特徴があります。密着力はウレタンよりも劣りますが、紫外線に強く埃を吸着しにくいので、屋内・屋外のどちらにも適しています。

ただし、シリコンは上から塗料を重ねることができないため、コーキング部分が「むき出し」の状態になってしまいます。カラーシリコンを使うことで塗装面とのギャップを減らすことができます。

 

【ポリサルファイド】

ポリサルファイドは高い耐油性を持っているコーキング材です。

そのため、配管やダクト回りなど耐油性が求められる部分に使用されることが多く、耐油性が求められない外壁等には使用されません。

 

【変成シリコン】

変成シリコンはシリコン樹脂によく似た性質を持つ合成樹脂で、耐久性、耐候性、耐熱性があり、紫外線に強く、塗料を上から塗ることができます。

密着性は普通のシリコンよりもやや高い傾向がありますが、全体的な性能としては普通のシリコンよりも劣り、価格は少し高めです。

 

変成シリコンのメリット

変成シリコンコーキングの性能は製品ごとに異なりますが、全体的な性能は普通のシリコンの方がやや高いといわれています。

しかし、変成シリコンは塗料を重ねることができるため、外壁などの屋外部分に利用してもコーキングがむき出しになって美観を損ねる心配がありません。

また、普通のシリコンよりもやや劣るといっても耐熱性、耐候性、耐薬品などは十分備えており、ウレタンよりも紫外線に強い、アクリルのように肉やせしないなど、他のコーキングにはないメリットが数多くあります。

 

ブリード現象とノンブリード

シーリングした箇所に塗料を塗ると、施工から1~2年程度で色が黒く変色して表面にヒビが入ったり、ボロボロと崩れたりすることがあります。シーリング材の耐用年数は種類や使用環境などによって変わりますが、一般的には7~8年といわれていますので施工から1~2年程度で劣化するのは明らかにおかしいといえます。

これは、シーリング材のヒビ割れや剥がれ防止を目的として含まれている「可塑剤(かそざい)」と塗料が化学反応を起こしたことで現れる症状で、「ブリード現象」と呼ばれます。

 

ブリード現象を予防する方法としては、シーリング材の上に「プライマー」を塗るか、ブリード現象を起こさない「ノンブリード」のシーリングを使うかのどちらかですが、新築でシーリング材を充填する時や、古いシーリングと撤去して「打ち直し」を行う場合はノンブリードタイプのシーリングを使用したほうが手間が少ないです。

変成シリコンのほか、ウレタン、アクリルにもノンブリードタイプのコーキングがあるため、使用する場所や予算などに合わせてどのコーキング材を使うか、通常のタイプかノンブリードタイプかを選ぶとよいでしょう。

ブリード現象の対処法については意見が分かれることもあるので、ブリード現象の対処や塗装をプロが解説した他サイトもご確認いただけますと幸いです。

 

ノンブリードタイプの変成シリコンはどこに使う?

変成シリコンは石材、金属、木、モルタル、コンクリート、プラスチック、陶磁器など、さまざまな素材との密着性がよいため、幅広い場所や用途に使うことができます。窯業系サイディングやコンクリート、タイルなどの目地や、サッシまわりのほか、耐水性もあるので水回りにも適しています。 また、普通のシリコンとは異なり塗料を重ねることができるため、コーキング部分が目立って美観を損ねる心配もありません。ノンブリードタイプの変成シリコンであれば、プライマーを使う必要もなく、そのまま塗料を塗っても問題ありません。

しかし、普通のシリコンやウレタンに比べると価格が少し高いため、どこにでも使ってしまうとコストがかさんでしまいます。ウレタンや普通のシリコンで支障がないという部分と、変成シリコンが適しているという部分で使い分けるのが理想です。

変成シリコンは紫外線に強く埃がつきにくい、塗料を重ねることができるという特徴から外壁をはじめとした屋外での使用に適しています。特に、ノンブリードタイプの変成シリコンは塗装を行うサイディング外壁に最適です。

 

市販されているノンブリードタイプの変成シリコン

【ボンド変成シリコンコーク ノンブリードLM】

ボンド変成シリコンコーク ノンブリードLMは接着剤で有名な「コニシ」の変成シリコンコーキングで、窯業系サイディングの目地や、モルタル、コンクリートの補修など幅広い用途に使用できます。

柔軟で追従性が高く、耐久性、耐候性に優れているため屋内はもちろん屋外での使用に適しています。

厚生労働省指針値策定の13物質を使用していないため、安心して使えるのもメリットです。

 

【ペンギンシール 2550Type NB】

ペンギンシール 2550Type NBは高い柔軟性と追従性が特徴の変成シリコンコーキング材で、窯業系サイディングのほか、RC、モルタル、サッシ周りへの使用に適しています。

ほとんどの塗料に対して耐性のあるノンブリードタイプで、付着性がよく、幅広く使用することができます。

 

【ヘンセイシリコーンNB-LM】

ヘンセイシリコーンNB-LMは窯業系サイディングの目地や動きの大きい場所への使用最適な柔軟性を備えたノンブリードタイプの変成シリコンコーキングです。耐候性、耐久性がよく、低温でも施工しやすい、防カビ剤を配合しているため美観が長持ちします。

さらに、カラーバリエーションが豊富なため、サイディングの色に合わせて色を選ぶことができるのも大きな魅力です。

 

【ルーフコークNB-Q】

ルーフコークNB-Qはフッ素鋼板にも使用できるノンブリードタイプの変成シリコンコーキングです。特殊な変成シリコンを使用しており、従来の変成シリコンよりも耐候性に優れているだけではなく、硬化速度が早いという特徴があります。

フッ素塗装鋼板、カラー鋼板、サイディングの目地などに利用できます。

 

まとめ

ノンブリードタイプの変成シリコンは密着性ではウレタンに劣り、耐久性では普通のシリコンよりもやや劣る傾向があります。しかし、紫外線に強く、上から塗装することができるため外壁をはじめとした屋外の使用に適しています。

防カビなどの機能を備えた製品や、モスグリーン、ベンガラ色といった色付きの製品など種類が豊富なので、用途や環境、見た目などから好みのものを選ぶことができます。

ノンブリードタイプの変成シリコンを使った外壁塗装をご希望の方は、マルキペイントにご相談ください。

 

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