シーリング工事とは?工事のメリットから施工の流れ・費用相場まで

外壁塗装について調べていると、シーリング工事やコーキングといった言葉を頻繁に見かけます。シーリング工事やコーキングという言葉は、一般には馴染みの薄い言葉であるため、どのような意味があるのか、疑問に感じる人が多いでしょう。

そこで当記事では、シーリング工事の概要から工事を行う目的・施工の流れや費用相場まで詳しく解説します。現在、自宅の外壁塗装を検討している人は、ぜひ当記事を参考にしてください。

1.シーリング工事とは

建物外壁に貼るタイルやサイディングなどの外壁材は、パネル同士に目地の隙間が生じます。シーリング工事とは、接着性があるシーリング材で、目地の隙間を塞ぐ工事のことです。外壁目地にシーリング工事を施すことで、外壁材の内側に雨水が入りにくくなり、外壁の劣化を防ぎます。

シーリングは、時々コーキングと呼ばれることがあり、2つの言葉に明確な違いはありません。あえて区別するとすれば、コーキングは「目地に詰め物をすること」、シーリングは「防水性能を目的として目地に詰め物をすること」といった程度の違いです。業者に工事を依頼する際は、シーリング・コーキングのどちらを使っても問題ありません。

1-1.シーリング工事が必要な状態

充填されたばかりのシーリング材は柔軟性・伸縮性があり、目地の隙間を完全に埋めることが可能です。しかし、温度変化・紫外線・経年劣化が原因となって、シーリングの表面に劣化症状が起こります。シーリング材の劣化症状としては、以下に挙げる3つの状態があります。

  • 表面のひび割れ
  • 中央から破断する切れ
  • 接着面の剥がれ

劣化したシーリング材は、本来の目的である目地の隙間を塞ぎ、風雨から住宅を守る効果が期待できません。シーリング材に劣化症状が見られた際は、古いシーリング材を撤去して、新しいシーリング材を詰め替える必要があります。

2.シーリング工事を行うメリット&デメリット

シーリング工事を行うメリットとデメリットについて、2つのポイントに絞って紹介します。

【シーリング工事を行うメリット】

  • 劣化部分の雨漏りを未然に防ぎ、外壁の寿命を伸ばす
  • 定期的に工事を行うことで、外壁全体の点検に繋がる

シーリング工事は、シーリング部分を新しくするだけではなく、目地から水が染み込むことによって起こる雨漏りを防ぐことができます。雨漏りを防ぐことで外壁部材や下地が劣化しにくくなり、外壁の寿命を伸ばすことが可能です。

また、シーリング工事の施工時には、施工箇所以外の状況確認が行われます。定期的なシーリング工事は、外壁を健全な状態で保つために必要なメンテナンス作業です。

【シーリング工事を行うメリット】

  • シーリングの劣化が著しい場合、かかる費用が大きくなる
  • 2階以上のシーリング工事は足場仮設が必要となる

シーリング工事のデメリットは、主に費用面の負担が挙げられます。シーリングの劣化が目に見える状態まで進んでいると、外壁全体に影響が出ている可能性があり、工事費用総額は高くなる傾向があります。

ただし、工事費用についてしっかりと根拠を示して見積りを行える業者であれば、適正価格でシーリング工事を行ってもらえます。また、2階以上の工事で必要となる足場は、シーリング工事を外壁塗装と一緒に依頼することで、仮設費用のコストカットが可能です。

3.シーリング材の種類と工事手順

シーリング工事で使用されるシーリング材や工事方法にはいくつかの種類があり、用途に合わせて使い分けされます。シーリング材の種類と工事方法は、工事費用や工事品質に関わる項目であるため、それぞれの特徴を知り、依頼する際の参考にしましょう。

〇代表的なシーリング材の種類
目地に充填するシーリング材の種類は、以下の4つが代表的です。

【ウレタン系シーリング材】

ウレタン系は、耐久性が高いシーリング材です。充填後に硬化するとゴム状の弾力性を持ち、目地の密閉性を保ちます。シーリング材の上から塗料を使えることが特徴です。

ただし、耐候性が低い・紫外線に弱い・ホコリを吸着しやすいといったデメリットがあります。施工後は仕上げ塗料を塗るなど、シーリング表面の保護が必要です。

主な用途:ALCパネルや窯業系サイディングの目地、サッシ廻りなど

【アクリル系シーリング材】

水性タイプのシーリング材で、湿った面にも粘着質を保てることが特徴です。硬化すると弾性を持ち、表面に塗料を塗ることができます。

デメリットは、耐候性・耐久性に乏しく、充填後にシーリング材が肉痩せしやすい点です。

主な用途:ALCパネルの目地など

【シリコン系シーリング材】

シリコン系は、ホームセンターなどでも販売されている、コストパフォーマンスに優れたシーリング材です。密着性に優れているため、下塗り用のプライマー処理をしなくても施工が可能であり、シーリング材としての耐久性にも優れています。

デメリットは、施工後にシリコンオイルが染み出て、周囲を汚してしまう点です。常にオイルが染み出るため、上から塗料を塗ることができず、外壁のシーリング材には適していません。

主な用途:ガラス廻りや水廻りのシーリングなど

【変成シリコン系シーリング材】

耐候性・耐久性に優れたシーリング材です。シリコン系に比べると密着性に劣るため、プライマー処理が必要となるものの、周囲にオイル汚れが起こりにくくなっています。

変成シリコン系は、ガラス類・モルタル・金属など、さまざまな素材と相性がよい防水材料です。上から防水塗装ができるため、外壁のシーリング材に適しています。

主な用途:外壁におけるサイディング・タイル・ALCパネルの目地など

〇基本的な工事方法
シーリングの工事方法には、以下の2種類があります。

【シーリング打ち替え工事】
古いシーリング材を完全に除去して、新しいシーリング材を充填する工法です。

【シーリング打ち増し工事】
古いシーリング材の上から、新しいシーリング材を足して補修する工法です。既存のシーリング材がそれほど劣化していない場合に行われます。

3-1.施工の流れ

シーリング工事で実際に行われる施工の流れについて、一般的なシーリング打ち替え工事の内容をもとに紹介します。

①古いシーリング材の除去 目地部にカッターナイフを入れて、古いシーリング材を剥がします。
②目地の清掃 目地内のホコリや錆を、ブラシで丁寧に掃除します。
③マスキングテープで養生 シーリング材で周囲の壁を汚さないために、目地に沿ってマスキングテープを貼って養生します。
④バックアップ材の挿入、またはボンドブレーカーの貼り付け シーリング材が目地底に接着する三面接着を防ぐために、バックアップ材やボンドブレーカーを使用します。
⑤プライマーの塗布 外壁材にシーリング材をしっかりと接着させるために、プライマーを塗布します。
⑥シーリング材の充填 シーリング材をコーキングガンにセットして、目地に充填します。
⑦表面のならし シーリング表面をヘラでならし、押さえて圧着させます。
⑧完了 シーリング材が完全に乾燥する前に、養生用マスキングテープを剥がして、工事完了です。

4.シーリング工事の費用相場と工期の目安

シーリング工事にかかる費用は、基本的に工事方法とシーリング材の種類・施工量によって決まります。費用相場について、工事方法の種類ごとに紹介するため、参考にしてください。

費用相場(1平方メートルあたり)
シーリング打ち替え工事 900~1,200円
シーリング打ち増し工事 500~900円

使用するシーリング材は、アクリル系が最も安く、ウレタン系・シリコン系・変成シリコン系の順に費用が高くなります。また、施工場所が2階など足場仮設の必要な場合は、仮設にかかる足場代が別途必要です。

シーリング工事にかかる工期は、充填したシーリングが完全に乾燥するまでの、2~5日が目安となります。ただし、シーリング充填の段階で雨が降っている場合は工事を始められず、工期が延長することに注意が必要です。シーリング材は基本的に水を弾く性質を持っているため、施工箇所が水で濡れていると、しっかりと接着できません。

まとめ

シーリング工事とは、外壁材の目地をシーリング材で塞ぎ、外壁の雨漏りを防ぐための工事です。定期的に行うことで外壁全体を点検できて、外壁の寿命を伸ばせる点が、シーリング工事のメリットといえます。

シーリング工事にかかる工期の目安は、2~5日と短期間です。工事費用の相場は、工事方法やシーリング材の種類・足場仮設の有無によって異なります。

目地をきれいに整え、外壁を守るシーリングは、定期的に打ち替える必要があります。外壁のシーリングにひび割れ・切れ・剥がれといった劣化が見られた場合は、シーリング工事の実施を検討しましょう。

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