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2021.05.17

大規模修繕でチェックしたい法律とは?建築基準法をわかりやすく解説!

「大規模修繕の際にチェックしておくべき法律が知りたい」
「大規模修繕を行うため建築基準法について確認しておきたい」

建物のオーナーや管理者の方は、はじめての大規模修繕の際に法律についてこうお悩みになるでしょう。
建物のオーナーや管理者の方々は、大規模修繕に備えて建築基準法の知識を確認しておくと安心です。
この記事では、大規模修繕に関係する建築基準法について解説します。
「建築基準法の内容をよく知らなかったために法律違反となってしまった」という事態を避けるためにも、ぜひ記事をご覧ください。

大規模修繕をする上でチェックすべき法律は「建築基準法」

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大規模修繕を行う際は、「建築基準法」を順守しなければいけません。
建築基準法とはどのような法律か、大規模修繕にどのように関係するかを解説していきましょう。

建築基準法とは

マンション 外壁塗装22

建築基準法は、国民の生命や健康、財産を保護するために、建築物の構造や設備について定めた基準となります。
簡単に言えば、建物を建築する際に遵守しなければいけない法律です。
建築基準法では、建物の以下の点に対して基準が定められています。
・用途
・敷地
・構造
・設備
例えば、住みやすさや景観などを守るために決められているのが用途地域です。
用途地域には、主に以下の3つのエリアが決められています。
・工業区域
・商業区域
・住宅区域
それぞれの地域にて、用途の異なる建物が混在しないように規定されているのです。
新たな建築だけでなく、増改築や修繕工事でも建築基準法を守らなければいけません。

建築基準法で定められている大規模修繕工事の定義

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建築基準法では、建物の主要構造部とされる壁や柱などにおいて、全体の半分を超える修繕を行う工事が大規模修繕にあたると規定されています。
建物に主要の柱が10本ある場合、6本以上を修繕する際は大規模修繕です。
また、建築基準法では大規模修繕の対象となる主要の構造部ではない箇所についても定められています。
建物の構造において、間仕切り壁や屋外の階段などは主要な構造部ではありません。

建築基準法で大規模修繕工事に関係する法律

マンション 大規模修繕 2回目7

建築基準法の中でも、大規模修繕に特に関係する法律は以下の4つです。
・確認申請
・区分所有法
・マンション管理適正化法
・定期管理報告
それぞれの法律や制度について詳しく解説します。

確認申請

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確認申請は新たに建築物を建てるときや、大規模修繕を行う際に必要な申請です。
予定している建設や修繕の内容を申請して、法律に違反していないか担当機関によるチェックを受けます。
管理組合の代わりに、建築士や業者が確認申請の手続きをサポートする場合もあります。
ここで注意したいのは、確認申請の提出は建築主(工事の依頼主)が必ず行わなければいけないという点です。
確認申請を怠った場合は、建築主が責任に問われるため注意しましょう。
また、工事内容によっては確認申請が不要な場合があります。
以下にて、確認申請が必要な工事内容を解説します。

確認申請を行わなければいけない工事内容

以下の工事を行う場合、確認申請を行わなければいけません。
・新築
・増改築やリフォーム
・大規模な修繕や模様替え
法律上の大規模修繕や模様替えとは、建物の主要構造部のうち一種以上について、過半数の範囲を修繕した場合です。
マンションの大規模修繕では、屋上防水や外壁の塗り替えは建物の表面のみの修繕と見なされるため、基本的に確認申請が不要です。
ただし、下地の補修も行う際は「大規模な修繕」となるため確認申請が必要となります。
大規模修繕を依頼する業者やコンサルタントに、確認申請が必要か相談しておきましょう。

確認申請を行わなければいけない建物のタイプ

新築工事と大規模修繕では、確認申請が必要な建物のタイプが異なります。
新築では、第一号から第四号までに該当する建物は確認申請が必要です。
大規模修繕の場合は、第一~第三号までの建築物に確認申請が求められます。
第一号は、床面積が合計100平米を超える以下のような特殊建築物です。
・映画館
・体育館
・ホテル
・病院
第二号は、延べ床面積が500平米を超えており、かつ高さが13メートル、または軒の位置が9メートル以上の木造建築物となります。
第二号の場合、階数は3階以上とも定められています。
第三号は、延べ床面積が200平米を超えており、かつ2階以上の木造建築物です。
第四号は第一~第三号以外の建物すべてを指します。

区分所有法

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区分所有法では、マンション共用部分の修繕や工事を行う際は総会での決議が必要と規定されています。
共用部分の大規模な修繕を行うには、区分所有者および議決権のうちそれぞれ4分の3以上が可決しなければいけません。
なお、区分所有者の定数に限っては、4分の3以上ではなく過半数に減らすことも可能です。
決議を得る方法は2種類あり、工事の内容によって必要な可決者数が異なります。
以下にて、決議を得る方法をそれぞれ紹介します。

特別多数決議が必要なケース

共用部分の著しい変更を伴う修繕工事では、特別多数決議が必要となります。
特別多数決議では、区分所有者及び議決権の各4分の3以上が集まり、工事内容を議決しなければいけません。
特別多数決議が必要なのは、以下のように建物の外観や形状が大きく変わる工事です。
・エレベーターや屋外階段の増築
・不要なスペースをリフォーム
不要なスペースをリフォームとは、使っていないエリアに集会所や事務所などを増築することです。
ただし、著しい変更を伴わない大規模修繕では、以下の普通決議で実施できます。

普通決議で施工可能となるケース

普通決議では、区分所有者および議決権の過半数が議決すれば工事できます。
普通決議で施工可能なのは、以下のような修繕工事です。
・屋上防水工事
・外壁の補修工事
・鉄部の塗装工事
このような修繕は、快適な居住空間や建物の資産価値を保つために不可欠な工事です。
基本的に建物の資産価値の低下を防ぐための工事や、著しい変更を伴わない場合は普通決議の対象となります。

マンション管理適正化法

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マンションの資産価値を維持して、快適に住めるよう建物管理の在り方を整備した法律が、マンション管理適正化法です。
マンション管理適正化法が制定される以前は、マンション管理会社になるための要件が定められていない状態でした。
そのため、修繕積立金の収支管理や建物の図面保管などが的確にされておらず、大規模修繕を行う際にトラブルが発生するケースが多々ありました。
しかし、現在ではマンションの管理会社になるためには以下のような一定の要件が定められています。
・管理業務主任者が在籍している
・収支状況を管理組合へ書面交付する
正しいマンション管理業務を行うためにも、国家資格である管理業務主任者の資格を保有しているスタッフが事務所に在籍していなければいけません。
マンション管理適正化法により、管理会社とオーナー側がともにマンションの管理がしやすい状態となっています。

定期管理報告

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建築物は、法律にて「定期管理報告」という建物自体や設備などが適切に維持、管理されているかを定期的に報告しなければならないと定められています。
定期管理報告では、一級建築士や二級建築士などの有資格者に調査を依頼して、調査結果を特定行政庁へ報告します。
定期管理報告が必要な建物タイプと、報告する周期を以下で詳しく説明していきます。

定期管理報告を行わなければいけない「特殊建築物」とは

定期管理報告が必要なのは、特殊建築物といわれるタイプの建物です。
特殊建築物とは、主に不特定多数の人が訪れる以下のような建物が該当します。
・映画館
・病院
・ホテル
・学校
・体育館
ただし、規模の大きいマンションは特殊建築物に該当する場合があるため注意が必要です。
特殊建築物に該当するマンションの条件は、自治体に在籍する建築主事が独自に定めています。
建築主事は、建築物が建築基準法に基づくか確認する役職の公務員です。
人口25万人以上の市町村には、建築主事を設置する義務があります。
マンションが特殊建築物に該当するかは、各自治体の公式ホームページから確認しましょう。

定期管理報告をする周期

特殊建築物の定期管理報告は、3年に1回が基本です。
定期管理報告が必要な年度になると、所有者や管理組合宛てに報告要請のお知らせが届きます。
管轄の自治体からお知らせが届いたら、有資格者へ調査および報告書の作成を依頼しましょう。
報告書の提出は、市役所へ持参もしくは郵送で行います。
郵送の場合、報告内容に不備があると二度手間となるため、よく確認してから提出しましょう。
なお、報告周期は自治体によって異なる場合があるため注意してください。

大規模修繕を行う際は法律を守って正しく施工しよう

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大規模修繕には、建築基準法を基にさまざまな法律が関わっています。
修繕内容によって確認申請が必要となる場合があることや、決議方法が異なることを頭のすみに入れておくと安心です。
法律は複雑なため、大規模修繕を依頼する業者やコンサルタントに相談しながら修繕計画を進めましょう。

大規模修繕の工事タイミングや費用など総合的な情報を知りたい場合は「初めての大規模修繕!工事タイミングや費用、実施のガイドライン」もチェックしてみてください。